「登山に行ってみたい。でも、正直ちょっと怖い。」
道に迷ったらどうしよう。途中でバテたらどうしよう。ちゃんと帰ってこられるのかな。
登山初心者の多くが感じるこの“怖さ”の正体は、実は体力不足ではなく「計画不足」です。
登山は、なんとなく行けるレジャーではありません。
でも逆に言えば、きちんと計画を立てれば、怖さは大きく減らせます。
この記事では、
- 登山計画とは何か
- なぜ計画が必要なのか
- 初心者でもできる具体的な立て方
を、できるだけわかりやすく解説します。
「計画なんて難しそう…」と思っているあなたでも大丈夫。
この記事を読み終わる頃には、“なんとなく不安”が“具体的に準備できる”に変わるはずです。
さあ、安全に楽しく山へ行くための第一歩を、一緒に踏み出しましょう!
「登山計画」ってなに?
ここでは「どの山に、どのルートで、どのくらいの時間で、どんな装備で行くかを事前に決めること」と定義します。
ですが、それだけでは不十分です。不安なく登山を楽しむためには「どんな不測の事態が起こりうるかを考え、その対策を検討する」必要があります。
その両方の対策ができてはじめて登山計画ができた、といっても過言ではありません。
登山計画の重要性
恐竜くんふーん。計画がないとどうなるの?
スマホもあるしなんとかなるでしょ^ ^



そんな甘い姿勢だといつか痛い目に遭いますよ!
例えば、登山計画を作成していないと以下のようなことが起こり得ます。
ケース1:自分の体力に見合わない山に登ってしまった
山頂の景色が綺麗だからなどといった理由で行きたい山を選ぶ。それ自体を否定したりはしません。
ですが山頂までなんとか辿り着くことができても、下山する体力がない。足がガクガクしてもう1歩も動けない。
そんなときどうすればいいでしょうか?
周りに人がいれば助けてもらえるかもしれません。ですがもしタイミングが悪く近くに誰もいなかったら?
山頂はまだしも、山の中では電波が入らないことがほとんどなので、その場でスマホで検索する…ということはまず不可能です。
考えただけでぞっとしますね。
そこで、
- 事前に自分の体力はどのくらいかを把握しておく
- 途中でバテた場合にどうするかの対策を考えておく
といったことが必要になります。
ケース2:ペース配分を考えていなかった
1とは違って体力は問題ない。
だけど景色が綺麗で写真を撮るのに夢中になってしまった。あるいは山頂の景色をずっと見ていたくて時間を忘れて見入ってしまった。気がつけば日が沈みかかっていて、薄暗くなっている。でも下山口まではまだまだ時間がかかりそう。
山の中であれば木々に覆われているのでより暗くなります。また、日没が近づくにつれ野生動物の動きも活発になります。スマホの明かりを頼りに歩いていたけど、電池が切れてしまった。仕方なく暗闇の中手探りで歩いて…
危険なのはいうまでもありませんね。
この場合は
- 何時までに下山するか決める
- 山頂や休憩ポイントなど目安となる場所に何時までにつけばいいのか決める
- ペースが思わしくない場合、どこで引き返せばよいか決める
- 暗くなった場合に備えてヘッドライトを用意する
といった対策が必要になります。
ケース3:食料・水分不足
登山はかなりエネルギーを使う運動だと言われます。
また、食べたものをエネルギーとして使うには水分が必要です。そのため安全に登山を行うには十分に食料と水分を持っていく必要があります。
用意した食料や水分が不十分だったり、適切なペースで摂取できないと俗に言う「シャリバテ」というエネルギー切れの状態になって動けなくなったり、脱水症状が出てしまいます。特に夏場などは致命傷ですよね。
ですが、初心者だとなかなか自分に必要な食料と水分の量がわかりません。また、どのくらいのペースで摂取しなければいけないかを把握するのも難しいでしょう。
- 山小屋や売店、茶屋がある登山コースを選ぶ
- 気持ち多めに食料と水を用意する
- タイマーを設定するなどして定期的に食料・水を摂取するようにする
といった対策をするとよいでしょう。
遭難の多くは「準備不足」
上記で挙げたような
- 体力不足
- ペース配分ミス
- 食料・水分の摂取量・タイミングのミス
といったもの以外にも
- 道迷い
- 天候急変
- ケガ・体調急変
といったこともありえます。こういった要因が重なってしまうと遭難の原因になり、ひいては命を落とす危険があります。
ですがこういったものは事前の準備を行うことでほとんどの確率で回避することができます。そして登山計画を作るということが事前の準備のひとつになるのです。
登山計画を作ってみよう



登山計画を作るのが重要なんだとわかったよ。
でもどうやって作ればいいの?



これから解説していくよ。
登山計画に含まれる内容
登山計画を作成するには以下の項目を検討していきます。
- 山・ルート選定
- コースタイム
- 休憩ポイント(トイレ休憩も含む)
- 天候
- 装備チェック
- 下山予定時刻
- 撤退プラン(体力切れ、ケガ、天候悪化などのトラブルが発生したときの対応)
- 予備プラン(行こうとしていた山・コースが通行止めになったり天候が悪そうな場合の代替案)



えー、なんかいっぱい考えないといけないんだね。
なんだかめんどうだな…
そう、本来登山計画を立てるにはこれくらい色々なことを検討しないといけないんです。
ですが、初心者からすれば知らないことだらけですし、かなりストレスですよね。
安心してください。今から説明するポイントを押さえれば、登山計画の手間は省けますのでまずは以下の方法を試してみてください!
初心者向け登山計画のコツ1:初心者向けの山・コースを選ぶ
関東圏なら高尾山や御岳山や大山、関西圏なら伊吹山や六甲山、生駒山あたりが挙げられると思います。
こういった山に共通するのはだいたい以下のような要素です。
- 道が整備されていて歩きやすい、危険箇所がない
- コースタイムが短め(往復で4時間以内程度)
- 歩行距離が短め(5km以内程度)
- 標高差が少なめ(300m程度)
- トイレや売店が適度にある
また、ロープウェーがある山だと疲れても下山の行程をショートカットすることもできるのでなおよしです!
こういった山を選べば体力面のリスクやトイレ、食料や水分補給の心配がかなり軽減されます。



普段歩くの遅いんだよなあ…
コースタイム通りにいけるかなあ…



体力に自信がない人や初めて登山をする人は、ガイドマップなどで提示されているタイムx 1.2~1.5くらいで計算するといいですよ。
もちろんお昼ご飯や休憩の時間は別で取ってね。
どんな山を選べばいいのかや、歩行距離や標高差など登山コースの詳細は登山アプリを使うと簡単に調べることができます。基本的に無料で使えるものが多いですし、登山計画を立てる機能もあるので迷わずダウンロードすることをおすすめします。
どんな山を選べばいいのかや、歩行距離や標高差など登山コースの詳細は登山アプリを使うと簡単に調べることができます。基本的に無料で使えるものが多いですし、登山計画を立てる機能もあるので迷わずダウンロードすることをおすすめします。
初心者向け登山計画のコツ2:天気が崩れそうなら行かない
シンプルですがこれをすることで、かなりリスクを避けることができます。
当日の天気だけでなく、前々日までの天気もチェックしておくとよいです。
雨が続いていると地面がぬかるんでしまい、普段なら歩きやすい道でも滑りやすくなり危険なので初心者は避けた方が無難でしょう。
そのため理想は「登山予定日〜その前々日まで晴れが続いている」という状態です。前日に大雨だったとか、数日雨が続いていたという場合は避けた方がよいですし、当日については晴れのち曇りならあまりおすすめはしません。
山の天気は変わりやすいので、平地では大したことがなくても山では雨が降り出すということもありえます。また、曇りだと眺望も悪くなるので、せっかく行くのであれば当日もずっと晴れ予報の日がベストです。
天気の調べ方は普通の天気予報サイトではダメです。先述した通り山とそうでない場所の天気は異なるからです。
そのため専用のサイトで調べることをおすすめします。
予報の出し方などが異なるので、できれば複数のサイトで確認しておくとよいです。
登山計画簡単バージョンだと
先述した2つの条件「初心者向けの山・コースを選ぶ」「天気が崩れそうなら行かない」の2点を守った場合、検討する必要のある内容はこのくらいです。
- 山・ルート選定
- コースタイム
- 休憩ポイント(トイレ休憩も含む)
- 天候
- 装備チェック
- 下山予定時刻
- 撤退プラン(体力切れ、ケガ、天候悪化などのトラブルが発生したときの対応)
- 予備プラン(行こうとしていた山・コースが通行止めになったり天候が悪そうな場合の代替案)
装備チェック
食べ物や飲み水は売店で買えても、靴やザックを買うことはまず無理でしょう。
必ず前日までに最低限以下の観点で装備をチェックしておきましょう。
- 穴は開いていないか
- 汚れはないか(汚れていると撥水性能が落ちます)
- 動きにくくないか
下山予定時刻
下山予定時刻を出すには以下の順番で考えていく必要があります。
- 行きたい山のコースタイムを調べる
- 自分の条件に合わせてコースタイムを調整する
- 休憩時間を考慮する
コースタイムを参考に何時に下山=ゴール地点に着くかを決めておきます。
発信元によって定義は様々なので、定義を確認して自分に合わせて時間を足したり引いたりしましょう。
例えば山と高原地図では、地図記載のコースタイムについては以下のように定義をしています。
① 40~60歳の登山経験者
② 2~5名のパーティー
③ 山小屋利用を前提とした装備
④ 夏山の晴天時
この例であれば以下の要素を考慮して時間を調整していきましょう。
- 年齢:上記より低ければ短く、高ければ長めに
- 登山経験:登山経験豊富なら短く、経験が浅いなら長めに
- 人数:ソロ登山なら短く、これより多ければ長めに
- 荷物量:山小屋利用であれば(個人差はありますが)だいたい10kg想定なので、これより軽い荷物なら短く、重くなるなら長めに
- 天候:雨天や雪山であれば長めに
加えて以下(休憩時間に影響します)も考慮すれば完璧です!
- 運動経験:普段から運動しているなら短く、あまり運動していないなら長めに
- 道中で写真を撮るか:さらっと撮るなら短め〜変更なし、がっつり撮るなら長めに設定した方がいいでしょう
- 食事の時間:ささっと食べるor行動中に食べるか、ゆったり食べたり調理をするならその時間も考慮しましょう
- 暑がり・寒がりかどうか:山での移動中は意外と脱ぎ着することが多いので、暑がり寒がりほど脱ぎ着する時間が増えると思います。その時間も加味して長めに設定しておくと安心です。
撤退プラン
どんなに入念に準備をしていてもトラブルが起こるときは起こります。
天気の急変はもちろん、思ったより歩けなかった、水分や食料が足りなくなった、転んで怪我をしてしまったなんてこともあり得ます。
そんな場合は山頂まで行くことは別の機会にして、迷わず撤退することにしましょう。
無理して歩き続けることで怪我やダメージを負ってしまうと、登山どころか日常生活にも支障をきたしてしまいます。
初心者向けのコースであればそのまま引き返す場合が多いと思いますが、コースによっては引き返すより最寄りのバス停が近い、ということもあるので事前に「ここまでしか歩けなかったら、ここから帰ろう」といった撤退ルートを考えておきましょう。
また、実際に怪我をしてしまったり水分や食料がなくなってしまったタイミングで撤退を検討するのは遅いです。遅すぎです。
そのため「もしかしたら撤退を考えたほうがいいかもな…」というラインを決めておきましょう。
- 集中力が切れてきた
- 転んではいないがつまづくことが増えた
- 息切れがしてきたが、休憩してもなかなかおさまらない
- 歩いてきた時間と下山までの時間に対して飲む量・食べる量が多い(同じペースで飲食してたらなくなる)
といった項目が当てはまるなら、撤退ルートを検討しましょう。
もちろん途中で撤退するのは悔しいと思いますが、登山は体が資本です。安全に下山できない可能性が高くなってきたなら迷わず撤退しましょう。そして次の機会への糧とするのです。
まとめ
登山計画を提出しておけば、万が一の場合に捜索の手がかりとなります。
まわりにもこういう計画なんだ、と知ってもらえるのとそうでないのとは大違いです。
登山計画を作成することは、自分のためだけではなく、周りの人のためでもあります。
